【腹筋】社交ダンサーがやっている 逆効果トレーニング
「運動するには、腹筋背筋など、体幹が重要」だから、腹筋・背筋を日々鍛えています!
日々の積み重ねで、ようやくカッコイイ腹筋が見えてきたから、露出の多いドレスや、ラインの出る衣装を自信をもって着られるようになってきました!
上記のような場合、自信ができて素晴らしいですが、それで本当にダンスの競技能力が上がっているでしょうか?見た目だけカッコイイ、いわゆるシックスパックの腹筋を目指していませんか?
今回は、アスレティックトレーナーの視点から、
①腹筋には4つの分類がある
②鍛えるべきはインナーマッスル
③インナーマッスルを鍛える方法(動画つき)
の順で解説していきます。
目次
腹筋には4つの分類がある
よく、「腹筋」と一括りに呼ばれますが、解剖学的には4つに分類されます。
それを簡単に解説します。
① 「腹直筋」・・・シックスパックの筋肉で、体の前面にあり、体幹をパワフルに折り曲げます
② 「腹横筋」・・・背骨からグルっとウエストを覆い、天然のコルセットと呼ばれています
③ 「内腹斜筋」・・・脇腹にあり、上体を捻る時に使います
④ 「外腹斜筋」・・・脇腹にあり、内腹斜筋よりもパワフルに上体を捻ります
人の腹直筋はそもそも割れている形をしており、体脂肪がおおよそ10%以下になると、はっきりを腹筋の形が見えているという状態です。
そのような状態で、普段から腹直筋のトレーニングをしてバキバキのカッコイイ腹筋になることはパフォーマンスにどのような意味があるのでしょうか?
もしあなたが、「動きが固い」「もっとしなやかに踊りたい」「踊ると体が痛い」といった課題をお持ちであれば、次の章からの内容を理解・実践することで、確実にレベルアップできるはずです!
鍛えるべきはインナーマッスル
ここでは、少し視点を変えていきます。数年前からよく耳にするインナーマッスルとは一体どの筋肉を指すのでしょうか?その前にインナーマッスルとはそもそも何なのでしょうか?
■インナーマッスル・・・体の深い部分の筋肉。見た目ではわかりにくいが、体を安定させ、スムーズに動かす役割。鍛えると動きがしなやかになる。腹横筋、腸腰筋が代表的。
*腸腰筋とは、腰の背骨から太ももにかけて付着する筋肉で、脚を引き上げる、腰の回転を作る、腰のカーブを維持するといった、非常に大切な筋肉の1つ
■アウターマッスル・・・体の浅い部分の筋肉。パワフルな動きや、一瞬の動きに関係する。鍛えるとムキムキになり、動きが固くなりやすい。腹直筋が代表的。
ダンスの種類にも特徴があるので、両方がバランスよく鍛えられているのが理想です。ただし、優先的に鍛えるのはどちら?と聞かれれば、インナーマッスルであると言えます。
その理由は、大きく2つあります。
1つ目は、体の深部にあるインナーマッスルを鍛えることで、背骨が安定し、腰痛や首肩痛など、怪我の予防ができることです。
2つ目は、体幹が安定すると、体が安定するので、手足や首に無駄な力が入らなくなり、ステップや演技に余裕が生まれることです。
まずは、インナーマッスル強化で体の土台を作り、その後にパフォーマンスアップのためのアウターマッスルをつけていくという順序はどの競技にも共通して言えることです。
それなら、早速インナーマッスルトレーニングをやろう!、、、となりがちですが、ここで大切なのは、先にアウターマッスルをほぐすメニューをしっかりと組み込むことです。
なので、次の章では
アウターマッスルをほぐす
↓
インナーマッスルのトレーニング
の順に紹介していきます。
インナーマッスルを鍛える方法(動画つき)
この章では5つの種目を紹介していきます。
共通ポイントは「腹式呼吸」
インナーマッスルである腹横筋はコルセットのように筋肉が走行しているので、腹式呼吸をして、大きくお腹を動かすことで刺激されていきます。
■腹直筋・腹斜筋ストレッチ
①うつぶせの姿勢から肘を伸ばして、上体を反らす。腹式呼吸しながら10秒キープ
②そのまま左に捻り、右の腹筋群を伸ばす。腹式呼吸しながら10秒キープ
③同様に右に捻り、左の腹筋群を伸ばす。腹式呼吸しながら10秒キープ
*①~③を3セット繰り返す
■脚の引き上げ:腸腰筋・腹横筋トレーニング
①仰向けで股関節・膝関節を90°に曲げる
②自分の手を太ももに置く
③息を吐きながら、膝を頭の方向へ引き上げる。この時、腰が反らないように注意して、5秒キープ
*10回×2セットが目安
■四つん這いキープ:インナーマッスル全般
① 手を肩の真下、膝は股関節の真下に置いて四つん這いになる
② 頭とお尻をなるべく離すイメージをしながら、10秒かけて息を吐く *2セット
③ 右手を1cm浮かせながら10秒かけて息を吐く(3点保持)
④ 左手を1cm浮かせながら10秒かけて息を吐く(3点保持)
⑤ 右膝を1cm浮かせながら同様に10秒かけて息を吐く(3点保持)
⑥ 左膝を1cm浮かせながら同様に10秒かけて息を吐く(3点保持)
*③~⑥を2セット
■バードドッグ:背骨の動きがあるインナーマッスルトレーニング
①四つん這いの姿勢から、右手と左膝を1cm浮かす
②息を吐きながら、右手を頭の横に上げ、指先まで伸ばす
③息を吐きながら、左脚を後ろに伸ばす(踵で押すイメージ)
④②と③が同時にできるように練習(2点保持)
⑤息を吐きながら右肘と左膝をくっつける。この時背骨はやや曲がってOK
*④と⑤を繰り返す 10回×2セット(左右それぞれ)
■立位で肘・膝タッチ(バードドッグを立って行う)
①まっすぐ立って右手を真上に上げ、指先まで伸ばす(軸をしっかりと作る)
②左膝と右肘をタッチする
*①と②を繰り返す 10回×2セット(左右それぞれ)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はインナーマッスルの役割とトレーニング方法について解説させていただきました。
いわゆる昔ながらの「上体起こし」「クランチ」「カールアップ」などのトレーニングは、主に腹直筋上部のトレーニングですので、今回は第1選択としていません。それに加えて、「上体起こし」に関しては、腰痛発症のリスクが高まるとして米国海軍もトレーニング種目から除外しています。
これからは安全かつ効果的なインナーマッスルトレーニングを行い、怪我を予防しながら、ダンスの競技力向上を目指しましょう!
大島でサモーナスポーツ整骨院を経営・指導でスタッフを育て上げる。
多くのプロアスリートのトレーナーとして経験を積み、2021東京オリンピックのトレーナーにも選出される。
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